一見マイナスと思う事も、時間が経てば糧になる

空手指導の原点

こんにちわ、Moteです。

今回は、

「ああ、あの経験があったから今がある。」

という内容を

私が空手指導を行った時の経験を通して

お話していきます。

手前みそですが、

私は空手の教え方が上手いと思っています。

これまでも、

他流派で挫折した人、全くの初心者でも

引き上げた経験が数人あります。

 

そして、

教え方が分かりやすいと言われます。

 

そんな私の空手指導の原点は?

となる出来事を紹介します。

空手指導員を引き継ぐ

時は平成3年頃です。

その道場に入門して3年ほど経ち、

私も有段者として自分の稽古、

そして後輩への指導も併せてやっていました。

有段者とは?
級の上が段になります。
二級 → 一級 → 初段 → 二段となり、
空手の他にも柔道や書道など
”道”の字が使われるものに使われています。
この段を取得した人有段者と呼びます。

その道場とは、無門会という流派の川崎支部で

HT先輩が立ち上げ、私が入門者第1号でした。

HT先輩は就職を機に川崎支部を開設した方で、

身長は180cmほどで身体は細く、

一見すると空手とは縁が無いような雰囲気の人です。

 

しばらくHT先輩と2人きりの時が続いてましたが、

雑誌で紹介されるなどで、徐々に人も増え、

常時8~10人程、稽古生が集まるようになっていました。

 

そんな時、

一緒にやってきたHT先輩が仕事の都合で、

川崎に来れなくなり、自然な流れで、

支部の責任者は私へ移ることになりました。

 

ちなみにHT先輩は、その流派の古参で、

流派内でも人望があり、多くの人に慕われている存在でした。

 

そのため、支部を立ち上げた当初は

他の支部からで出稽古で来る人もいました。

 

そして、そのHT先輩の後輩ということで

私も徐々に名前を覚えられていきました。

 

「ああ、HTさんのところの。宜しくね。」

こんな感じで

合同稽古で声を掛けられることも増えていきました。

 

そんなHT先輩が、支部からいなくなり、

自分がやっていかないと・・・・とか、

道場破り的な人が来たら、相手をするには俺か・・・。

(実際は来ませんでしたが。)

 

こんな事を考えつつ責任者としての

最初の稽古日を迎えました。

誰も来ない日々、そして久しぶりに

その結果、

稽古開始の時間になっても誰も現れません。

結局、その日は1人で稽古をして終了。

 

次の週、

同じように誰も来ません。

みんな都合が悪いのかな。

でも、みんな一斉に都合が悪くなるかな。

 

そして3週目、

この日も誰も来ません。

この辺りで、やっと気づきました。

「ああ、HT先輩だから皆来ていたのか。

俺からは何も学ぶものがない・・・。

そういうことか・・・。」

と思いながら1人で稽古。

 

それから約1ヶ月。

この間もずっと1人で稽古です。

 

この期間は、

「また、今日も1人かな~」

と思いながら、道場に行ってました。

そして予想通り1人です。

 

そして、責任者となった日から

3か月ほど経った頃です。

 

借りている武道場に行くと、

入り口前で座っている人がいました。

思わず「KTさん。」と声を掛けました。

「押忍(オス)」と返事をします。

押忍(オス)とは
流派によりますが、空手における挨拶の言葉です。
応援団だけの言葉ではありません。

KTさんは、他の支部所属なのですが、

HT先輩の指導を受けたくて川崎に来ていた方で、

身長は約160cmで小太り、メガネをかけていて

私よりも年上になります。

 

そのKTさんが久しぶりに来ました。

そして、

その日は2人での稽古になりました。

 

私は嬉しくて、一生懸命教えました。

KTさんが、分からなかったり、

上手く出来なかったりすると、

 

どうやって説明したら良いのか?

この動きが出来るようになるためには

どこを修正すればいいのか?

何が足りていないか?

 

そういった事を考えながら教えていきました。

教わるKTさんも飽和気味かなと

思いながらも、構わず教えました。

 

そして稽古が終わり、

「今日は、なぜ来たんですが?」

と尋ねました。我ながら変な質問です。

そしてその返事が

 

「横須賀支部より、やっぱり川崎が良いと

思いました。Moteさんに責任者が変わった途端、

来なくなったので、負い目もあって来難かった

というのもあります。」

 

内心、

「ああそういう事か、あるある」

と思いながら、

 

「来れたら、また来週も来てください。

今日、教えたことを身に付けるには

短期集中が良いです。」

と言い、

KTさんも「押忍」と答えました。

 

それから数週間、

KTさんと2人きりの稽古が続きます。

そして、動きが良くなっていくのが

目に見えてきます。

 

特に注意したのが基本の立ち方。

腰が高くて膝を柔らかく使えていません。

自分が最も動きやすい腰の位置や

膝の角度を見つける為、繰り返し稽古します。

 

その結果、

下半身が連動して柔らかく動くようになり、

腰のキレが増したことで、突きのスピードと

威力が上がってきました。

それは本人も実感出来ていたようです。

 

私もこの期間、

自分なりに考え、工夫して教え、

そして答えがKTさんを通して得ることが出来ました。

 

当時はそんな余裕もなく気づきませんでしたが、

振り返ると、私自身にも大きくフィードバック

されていたと思ってすし、

 

あの経験がもし無かったら、

ここまで教え方が上手くなっただろうかと、

思うことがあります。

 

しばらくKTさんと二人だけでしたが、

時々、渋谷のSK先輩も顔出してくれ、

そのSK先輩が、

「川崎では丁寧に教えてくれるぞ。」

と、口コミしてくれたおかげで

他の支部からも、会員が来るようになり、

加えて、休んでいた人も復活して、

再び、10人程集まるようになりました。

 

人数が増えると、その分、

1人1人に対する密度は下がりますが、

教わった人が今度は教える側に回り

良い感じの雰囲気のする支部に

変わっていったと私は思っています。

 

それから数年。

私も仕事の都合でそのその支部、

および無門会も退会していました。

 

そして、KTさんから年賀状が届きます。

私が教えていた時のKTさんは黄色帯の5級です。

その年賀状には

「Moteさんのおかげで黒帯になることが出来ました。」

と書かれてあり、

嬉しくて涙ぐんだ事を憶えています。

黒帯
初段、二段など級から段になると締める帯です。
何色にも染まらない。という理由で黒になります。
また、一段と呼ばずに初段というのは初心に戻って。
という意味があります。

 

あの頃を振り返ると、

自分で言うのもなんですが、

「よくやったよな。」

と思います。

何せ道場では私が一番年下でしたから。

22歳の私が20代後半や

30代の人に教えていたので。

でも皆さん、

よく付いて来てくれたと思っています。

エピソード2

あれから約30年。

今の道場でも教える機会があります。

その中で印象的な人がいます。

 

YTさん。

小柄で髪型はカリフラワーで、

我が強く、1歳年下でこの道場では先輩です。

 

YTさんは入門して4年半も白帯(無級)でした。

後輩がどんどん追い越していきます。

 

それでも挫けなかったメンタルは、

逆に尊敬に値すると感じてます。

 

ある年の忘年会で

「Moteさん。来年はYTさんの昇級をお願いします。」

と先生から指示が出ました。

「なぜ俺が!」

と内心思いましたが、

本音はあのKTさんと重なるところがあり、

「分かりました。」

と返答。

 

YTさんの場合は重心移動が課題でした。

ここを修正しながら数稽古で落とし込む。

我が強い性格で、教えた通りにやらないため

苦労しました。そして、

今まで昇級出来なかった理由も分かりました。

 

そして約半年後、昇級させることに成功。
(今の道場は半年毎に昇級審査です。)

その時の先生の言葉が心に残っています。

「私が4年半かけて出来なかったことを
Moteさんがやってくれました。」

一番の褒め言葉だと感じました。

 

22歳の時、KTさんへの指導経験が

今の私の礎になっていることは間違いないです。

Moteの締めの一言

「人生に無駄な事はない。」

と言う言葉があるように、

マイナスな出来事が進行形の時は、

気付く余裕がないかもしれません。

しかし時間が経って振り返ったとき

「ああ、あの経験が今活かされている。」

こういった事は誰でも1つや2つで

済まないほどあると思います。

 

そうやって考えると、

今苦労していることでも

いつか実がなり花が咲くと

考える事ができます。

 

それは今取り組み中の

ビジネスにも当てはまると、

自分に語り掛けながら、

ブログを書いています。

 

ただし、

まだそんなに苦労はしてませんが。

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